血糖値を上げる糖質、上げにくい糖質


ご機嫌麗しゅう。
本日も諸君のパフォーマンス向上に少しでも寄与する知見を共有していきたい。

今回のテーマはタイトル通り、
「血糖値を上げる糖質、上げない糖質」だ。

以前の記事で「血糖値ハック」について述べた。
(前記事はこちら)

血糖値をハックするものがパフォーマンスを制する
 血糖値をハックする、という考え方を持ったことがあるか?血糖値 ━━━ 血中グルコース (ブドウ糖)濃度 諸君は血糖値を日常生活で意識しているだろうか? 年...

曰く、

血糖値の上昇を押さえなくてはならない。
糖質をコントロールしなくてはならない。
甘いものは避けなくてはならない

………。

そんなこと、

無理だよ……。

人間誰しも、時に甘いものを食したいという凶暴な欲望に抗えなくなる。
狩猟生活から農耕生活に伴う、「糖質」という甘美な世界を知ってしまった宿命だろう。(*諸説あり)

よって今回は「甘い」のに、血糖値をあげにくい糖質を取り上げる。
どうしても甘いものを食べたくなった時の意思決定の助けとなれば嬉しい。

そもそも糖質ってなに?

敵を知らずして対策など打てぬ。

糖質とは何か。
そもそも、炭水化物、糖類とは何が違うのか。

まず

炭水化物 → 糖質 + 食物繊維

である。

炭水化物 = 糖質のようなイメージが形成されいると思うが、
厳密には、炭水化物は消化・吸収されずに腸まで届く「食物繊維」を含んでいる。
*食物繊維は消化吸収されないため、それ自体は血糖値を上昇させることはない。

さらに、糖質は、糖の最小単位(=単糖)の繋がりによって以下のように分類できる。

1. 単糖(ぶとう糖、果糖、グルコース(ブドウ糖))
2. 二糖(ショ糖、乳糖、麦芽糖)
—————ここまでをまとめて「糖類」と呼ぶ———————
3~ 10. オリゴ糖
10~ . 多糖(でんぷん、グリコーゲン)

「糖質」と一言でいっても、その意味するところは多岐に渡っているのだ。

ここで勘の良い方なら既にお気づきかもしれないが、昨今市井に溢れる、「糖類ゼロ」表記。

上記の通り、「糖類」とは単糖と二糖のみを示すため、この2つ以外の「糖質」が含まれている可能性がある。

では「糖質ゼロ」であれば安心なのか。

厳密には「ゼロ」「ノン」「レス」「無」といった言葉であっても、
・食品100g (飲料100 ml)中に糖質が 0.5g 未満の場合
は表示してよいため、全く糖質が含まれていないことを保証しているわけではないのだ。

*なお「低糖」「微糖」「糖分カット」「糖分控えめ」が意味するところは、以下だ。
・食品 100g中に糖類 5g 以下
・飲料 100ml 中に糖類 2.5 g 以下

さらにややこしいことに「糖分」という表記まで昨今登場している。
「糖分」には明確な定義はなく、曖昧に糖質や糖類の意味で使われることがあるのだ…。
 
ふぅ、
諸君が言いたいことは分かっている。
日本語の微妙なニュアンスは非常に難しい。
「かわいい」という言葉が称賛にも、返答にも、アイロニーにも使われるくらい困難だ。

 

血糖値をあげにくい糖質とは?

「血糖値をあげにくい糖質」とは、
(甘く感じるのに)消化管の過程で血液中で代謝されにくいため、結果的に「血糖値をあげにくい」糖質ということである。

実生活の影響という意味では「糖アルコール」の一部がこれに当てはまる。

食品素材としては、酵母による発酵法や化学的製法により人工的に大量生産されたものを使用することが多いが、
主なものを天然甘味料と合成甘味料(人工甘味料)で区分を行うと以下だろう。

・天然甘味料:エリトリトール、ソルビトール、キシリトールなど
・人工甘味料:アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、スクラロース、ステビアなど

この他にも多種多様な天然(人工)甘味料があるが、
今回は中でも、「 FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)の認可(一日の許容摂取量 (ADI) を特定しないという安全性において最も高いカテゴリ)」が現時点で降りている、エリトリトールとキシリトールに焦点をあてたいと思う。

 

エリトリトール
メロン、ブドウ、梨などの果実、あるいはしょう油・味噌・酒などの発酵食品に含まれており、砂糖の約70%の甘みを有する。

摂取されたエリスリトールは、小腸で吸収され血中に移行する。
しかし、血中では全く代謝されずに、90%以上が尿中に排泄されるのだ。

すなわちエリトリトールそのものは全く血糖値を上昇させないといえる。


むしろ、アメリカの糖尿病のマウスにエリスリトールを与えた実験では、エリスリトールは糖を分解・消化する酵素を阻害する効果あり、食後の血糖を下げる作用が示されている。
(出典:アメリカ国立衛生研究所:Erythritol Attenuates Postprandial Blood Glucose by Inhibiting α-Glucosidase.

大量に摂取すると下痢やアレルギー症状が出る可能性があるが、
エリトリトールは他の難消化性の糖アルコールの甘味料と異なり、9割以上吸収されるため比較的下痢を引き起こしにくいとされている。
(参考:三菱ケミカルフーズ株式会社 製品情報

 

キシリトール

ガムやタブレットでお馴染みのキシリトール。砂糖と同程度の甘みをもつ。
いちごやラズベリー、カリフラワー、レタスなどに含まれている。
キシリトールは「糖類」や「多糖類」と比べると食後の血糖値の上昇は緩やかで、約半分程度の血糖値しか上昇させないとされている。

また両者の嬉しい副次的な効果として、
・虫歯のエサとなる有機酸を発生させず、虫歯の原因とならない。
(他の糖質との混合となった場合には当てはまらないから注意だ。)
・むしろ、虫歯菌(ミュータンス菌)の増殖を抑制し、歯垢ができにくい口内環境になる

*136名を対象とした研究にて、キシリトールとエリスリトールは同様にミュータンス菌の発育抑制につながったと示されている。アメリカ国立衛生研究所: Similarity of the effects of erythritol and xylitol on some risk factors of dental caries.)

 

以上、
糖質とはそもそも何なのか、さらにエリスリトールとキシリトールを例に血糖値をあげにくい甘味料をとりあげた。
どうしても糖質をとりたい、甘みを感じたい、という時の参考にしてほしい。